2007-10-15から1日間の記事一覧

循環論法と知識の全体論

循環論法は嫌われる。これにはもっともな理由がある。循環論法は、さまざまな偽なる命題を正当化するために使われてきた。しかし、循環論法を擁護する、もっともな理由もある。プラトン以来、哲学者は「知識の確実な基礎」を求めて苦闘してきたが、その中で…

法解釈

法解釈とは何か?それは、(1)法文の日本語として可能なある解釈を示し、(2)その解釈に従うべき理由を与えるものだ。法学者や裁判官が法解釈論を考えるとき、必ずこの二つのステップにこの順序で従っているというわけではない。また、法解釈を示すときでさえ…

『法の帝国』ダイジェスト

ドゥウォーキンは『法の帝国』しか読んでいないし、その内容もかなり忘れてしまったが、『法の帝国』の議論は、大体、つぎのようなものだったと思う。 「法とは何か?」という問いに対して、明確に外延を定めるような、単純な定義はありえない。なぜなら、こ…

民主主義の擁護

ある民主主義の擁護論が思いついたので、メモする。これは共和主義の思想に近いだろうと思うが、共和主義がどのようなものなのか僕は良く知らないので、単純に僕が思いついたある擁護論としてメモする。 出発点として、論理性と合理性を区別して、合理性を擁…

仏教

仏教とは宗教ではなく哲学である、といったことが言われることがあるが、僕は、仏教とは宗教だと思う。 そのトリヴィアルな根拠は、最初期の仏教経典にさえ、釈迦の超能力に言及する描写があり、人々が彼がその超能力を持っていることを根拠として(少なくと…

クール・マインドとウォーム・ハート

そういう人間になりたい。

道徳的判断と認知的判断

ナチ党員は邪悪であり、かつまた彼は世界について非合理な見方をしている。ナチ党員についてのこの二つの事実は、結びつき、相互に関係しあっている。しかしそのことは、ナチ党員が邪悪であるのは、主に、彼の世界観の非合理性が邪悪を構成するという意味で…

論理の心理説

論理の心理説のどこがまずいのか良く分からなくなってきた。「ある推論(導出)が論理的であるということは、僕たちの脳がそれを極めて信頼するように、進化の過程で形成されてきたということである」「論理学とは、人間の精神を研究する一つの方法である」「…

霊感

僕がキリスト教徒に尋ねてみたいことがある。新約聖書が聖霊によって書かれたことを認めるとしても、クルアーン(コーラン)が聖霊によって書かれたことは、どうやって否定できるか?新約聖書はたしかにイエスについて書かれたものだが、新約聖書はイエスによ…

孔子

「儒学」や「儒教」の「儒」という語はもともと葬式を中心とする儀礼にたずさわるシューマンを意味していて、孔子はそのようなシャーマン集団の出身らしい。しかし、孔子は、儀礼を脱神秘化、脱神話化して、世俗的な三つの正当化を与えた。儀礼とは、(1)社会…

ダーヴィズムの擁護

ものすごくためらいがあるが、道徳的根拠の一つとして、「自分(や親族や子孫)の生存可能性を高めることは、(いちおう)善いことである」というダーヴィズムを認めても良いような気がする(これはダーヴィンがそういうことを言っていたということではない。その…

道徳的議論の格率

道徳的な判断について、意見が分かれたり、疑問が生じたら、まず判断のための情報(データ)が足りないことを疑え。

センスデータ説と直接実在論

センスデータ説と直接実在論のどちらが、僕たちの経験をよりよく説明するのか?パトナムの『心・世界・身体』とサールの『心の哲学』を読む限り、彼らはセンスデータ説の議論を要領よく無力化しており、直接実在論をうまく弁護しているが、僕はこれはある意…

直接実在論

直接実在論の「直接」という形容は、なんらかの因果関係が直接的・間接的ということについてではなく、哲学的な認識論上の身分についてだ、ということに注意したい(僕がとんでもない勘違いをしているのではなければ)。従って、直接実在論者は、「僕がパソコ…

唯物論

「やっぱり、唯物論だな」と思う、今日この頃。ここでいう唯物論とは、(1)物理的因果の閉包性、(2)物理的存在者のみ認識しえる、という二つの命題で構成される立場だ。 あぁ、懐かしい古巣。僕が本当に安らげる場所。なぜ、僕はここを出て行こうと思ったのだ…

デカルト的懐疑

思考実験 (思考実験1)僕が信じていることは、ほとんど間違っているかもしれない。本当の世界は、食パンがその耳を羽ばたかせて、太陽の左斜め前を素因数分解している、そういう世界かもしれない。 (思考実験2:水槽の脳)巨大なプールがあって、その中には脳…

結果無価値説

つぎのような事例を考えてみる。 あるヤクザ組織で、Aが組織の金を持ち逃げした。幹部構成員BはAを探し出し、事務所に拉致し尋問たが、Aは「その金をすでに使い込んだ後であり、返せる見込みは全くない」と答えた。これを聞いたBは激怒し、拳銃を持ち出してA…

タイプ同一説

心の哲学における、タイプ同一説とトークン同一説の違いが理解できたように思う。 タイプ同一説とは、戯画化していえば、「『痛み』はこれこれの細胞の興奮と同一である。同様に、『野口英世はオリンピックで優勝した』という信念とか、『1002に2を足して、1…

デイヴィドソンの真理条件意味説

僕たちは、(1)語の指示は成功したり失敗したりする、(2)語の意味は変わっていく、(3)文を理解したと思っても後から自分が何を理解したのか良く分からなくなってしまったと感じることがある、ということは分かった上で、少なくともそのようなことを感じながら…

夫婦同姓

「夫婦・親子は同姓であるべきだ、というのが日本古来の伝統である」という主張がもしあるとすれば、それは全く受け入れられない。そんなものが、日本古来の伝統であるわけがない。天皇家の名字を答えてみろ。

創造説

知的生命体が偶然をもとに発生したとは考えにくいという創造説の論拠の一つに従えば、知的生命体の創造の系列は無限後退か、循環に陥る。そして、どちらも知的生命体が偶然をもとに発生した以上に考えにくく、結局は自然の斉一性か、物理的領域の因果的閉包…