2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『科学と価値』

ラリー・ラウダン『科学と価値―相対主義と実在論を論駁する』 *1を読んだ。科学理論といわゆる科学的方法、そして科学の目的(価値)との相関関係を論じている。訳者解説がノリノリで面白いので、一見の価値あり。ラウダンは、科学の理論と方法が科学の目的を…

道徳の可謬主義

実在論? 英米哲学系統のメタ倫理学においては「道徳的実在論」にはそれなりの支持者がいる。ただ、ここで「実在論」というとき、英米哲学の他の分野と同様、二通りの意味を区別するべきだろう: 道徳的命題に真偽がある(あるいはもっと弱く─道徳に関して合理…

超越論的論証・意味の全体論

一般論として「超越論的論証」というやつは疑わしい。しかし、大雑把に言って「僕の信念はほとんど正しい」という、このいっけん超傲慢、超独断的にみえる超越論的論証は正しい、少なくとも真剣に考慮するに値するように思われる。それはこういう議論である:…

逆転スペクトル人(2)

逆転スペクトル人の思考実験について気づいたことがあるのでメモ。まず、逆転スペクトル人の思考実験のあるバリエーションを考えてみることにする: この地球を離れたはるか彼方、宇宙のどこかに、この天の川銀河とそっくり同じ銀河があり、この太陽系とそっ…