思想っぽいメモ

民主主義の擁護

ある民主主義の擁護論が思いついたので、メモする。これは共和主義の思想に近いだろうと思うが、共和主義がどのようなものなのか僕は良く知らないので、単純に僕が思いついたある擁護論としてメモする。 出発点として、論理性と合理性を区別して、合理性を擁…

仏教

仏教とは宗教ではなく哲学である、といったことが言われることがあるが、僕は、仏教とは宗教だと思う。 そのトリヴィアルな根拠は、最初期の仏教経典にさえ、釈迦の超能力に言及する描写があり、人々が彼がその超能力を持っていることを根拠として(少なくと…

道徳的判断と認知的判断

ナチ党員は邪悪であり、かつまた彼は世界について非合理な見方をしている。ナチ党員についてのこの二つの事実は、結びつき、相互に関係しあっている。しかしそのことは、ナチ党員が邪悪であるのは、主に、彼の世界観の非合理性が邪悪を構成するという意味で…

霊感

僕がキリスト教徒に尋ねてみたいことがある。新約聖書が聖霊によって書かれたことを認めるとしても、クルアーン(コーラン)が聖霊によって書かれたことは、どうやって否定できるか?新約聖書はたしかにイエスについて書かれたものだが、新約聖書はイエスによ…

孔子

「儒学」や「儒教」の「儒」という語はもともと葬式を中心とする儀礼にたずさわるシューマンを意味していて、孔子はそのようなシャーマン集団の出身らしい。しかし、孔子は、儀礼を脱神秘化、脱神話化して、世俗的な三つの正当化を与えた。儀礼とは、(1)社会…

ダーヴィズムの擁護

ものすごくためらいがあるが、道徳的根拠の一つとして、「自分(や親族や子孫)の生存可能性を高めることは、(いちおう)善いことである」というダーヴィズムを認めても良いような気がする(これはダーヴィンがそういうことを言っていたということではない。その…

道徳的議論の格率

道徳的な判断について、意見が分かれたり、疑問が生じたら、まず判断のための情報(データ)が足りないことを疑え。

夫婦同姓

「夫婦・親子は同姓であるべきだ、というのが日本古来の伝統である」という主張がもしあるとすれば、それは全く受け入れられない。そんなものが、日本古来の伝統であるわけがない。天皇家の名字を答えてみろ。

創造説

知的生命体が偶然をもとに発生したとは考えにくいという創造説の論拠の一つに従えば、知的生命体の創造の系列は無限後退か、循環に陥る。そして、どちらも知的生命体が偶然をもとに発生した以上に考えにくく、結局は自然の斉一性か、物理的領域の因果的閉包…

自由意志

僕は、「経験」を客観的(ないし間主観的)なものだと考えてみることにした。少しフライングして言えば、他者の「クオリア」でさえ、客観的だと思う。大雑把に言えば、僕たちは、他者の(身体的な)痛みや、恋や嫉妬という感情を観察できる。電流計を通して、電…

パトナムとローティ

「対象なしの客観性」の立場のパトナムと、ローティは、かなり近いといって良いと思う。しかし、パトナムは、ローティの言い回し、例示、文化帝国主義を決して受け入れることはできないだろう。パトナムは、ユダヤ人だから。 パトナムにとっては、モーセもま…

共同体主義と普遍主義

リベラリストなり、何なりの共同体主義への反対者が感じる「不安」というのは、それが「異なる『伝統』に属する人々の間の公共的議論の不可能性」を示唆していることである。しかし、それを否定するのに何らかの思想は必要ない。端的に、それは経験的証拠に…

神と人間と自由意志

一度読んでさっぱり理解できなかった神学の入門書*1を読み返すのが、なかなか楽しい。少し読んで、あれこれと考えてみて、また少し読んでの繰り返し。さて、キリスト教における唯一神の「全能性」というのは、極めて難しい問題を引きおこす。神が全知全能の…

聖霊

キリスト教の「聖霊」について勉強中。正統的理解からいえば、つぎのことは間違いないだろう。「聖霊は一つのペルソナ(人格)であり、そして一つしかない」。だから、映画や小説を見てるとときどきそう思えてしまうような「それぞれの人の魂に、それぞれの聖…

健やかさと病

資料を見ずに記憶で書いているので間違っているかもしれないが、ニーチェは、彼のいう「奴隷道徳」について奇妙なダブルスタンダードをとっている。彼は、少なくとも彼の生きていた当時の「奴隷道徳」を激しく軽蔑し、罵倒している。他方で、彼の倫理的相対…

民主主義(1)

(1)民主主義,(2)立憲主義,(3)人権尊重の理念は,相互に矛盾している*1。もっとも単純に理解された民主主義とは,民主的に決定されたルール,つまり法律に人々は従うべきだというものだ。他方で,立憲主義とは,法律といえども憲法に反することはできないと…

民主主義(2)

下のエントリの続き。単純に理解された*1民主主義とは,たんにある決定手続きである。しかし,僕は,民主的な決定手続きが具体化しているところの「民主主義の精神」とでもいうべきものがあると考えている。それは,「人間の知性への信頼」という,いってみ…

民主主義(3)

下のエントリの続き。このように「民主主義とはどのようなものか」という問いには,明確な答えはまだない。したがって,次のような問いがでてくる。「民主主義とはどのようなものか」を民主的に決めるべきか? つまり,私たちの間の民主主義を支持するという…

神道

たしか,司馬遼太郎が,「神社の所在地は,かならず清々しく気持ちがよい。神道の基本は『気持ちがよい』ということにある」というようなことを書いていた。 ある現代の神道家が,「神道は体系だった教義を持たないが,それぞれの神社に受け継がれる祭祀と縁…

刑事責任年齢と選挙権を有する年齢

刑事責任年齢と選挙権を有する年齢(憲法上の「成年者」)が一致していないっていうのは,僕は直感的にものすごく変なこと,肯定するなら何か強い正当化理由を要することだと感じる。 「刑事上の責任能力の問題と,政治的な判断能力の問題は別だ」といえば,確…

全体主義

「日記: 2007.6.13」を読んで,いくつか脈絡なく思ったことをメモ。 どうして,全体主義者は,自分が全体主義者だということに気づかないんだろう? まぁ,不思議でもなんでもなく,内省と知的誠実さが足りないだけなんだろうけど。 全体主義者であるかどう…