刑事責任年齢と選挙権を有する年齢

刑事責任年齢と選挙権を有する年齢(憲法上の「成年者」)が一致していないっていうのは,僕は直感的にものすごく変なこと,肯定するなら何か強い正当化理由を要することだと感じる。


「刑事上の責任能力の問題と,政治的な判断能力の問題は別だ」といえば,確かにそれはそうかもしれない。

しかし,それならば,大学卒業者のみに選挙権を与えるという制度も可能だと思うが,それはなぜだめなのだろう?

もし「日本の一般的な政策についての判断能力の基準として,大学卒業というのは適切な基準ではない」というのであれば,何か適当な筆記試験を創設し,そこで一定の成績を収めたものだけに選挙権を認めてはどうだろうか。それでは,なぜだめなんだろう?*1

筆記試験で選挙権の有無を決めるシステムに賛成しないのは,あるいは少なくともそうではない制度を許容しているのは,選挙権を有する条件について,実は僕たちは政治的な判断能力の有無をたいして重要視していないということだと思う。

さらに,筆記試験で選挙権の有無を決めるシステムに反対するならば,そしてその反対が合理的なものだというのならば,それは「ルールによって拘束されるならば,そのルールを決める手続きに公平に参加できるべきだ」という政治道徳上の原則を概ね受け入れているからではないだろうか。


それではなぜ,刑事責任年齢と選挙権を有する年齢が一致していなくて良いのだろう。僕としては,刑事責任年齢も選挙権を有するようになる年齢も16歳くらいで統一するのがベストだと思う*2

*1:もちろん,憲法上,ダメだが。

*2:刑事責任年齢を14歳に引き下げたところ悪いんだけど。