規範についての知識

偉大なるカントやその他の人々に抗して、規範の知識とは経験的知識であり、それに反すれば自分にとって悪いことが起こるという予測である、という考え方にここ数日魅力を感じている。つまり、「殺人が悪いのは、それを行えば警察に捕まるからだ」*1という類の説明だ。

僕がこの考えが説得力があるように思ったのは、ある予測が規範として機能するには、「何か悪いことが起こるような気がする」ということで十分なのではないか、「Aの条件下で、BをCすれば、Dという結果が生じる」といった精密な予測である必要はないのではないか、と考えたからだ。

*1:もちろん、捜査機関の捜査を受けるよりも刑務所で刑罰を受けるということのほうが重大だとか、刑法上の犯罪成立要件は構成要件該当性だけではないとかはいえるが、そのような細部はいまはどうでも良い。