脳の幾何学的機能

よく考えてみれば、僕たちの脳が、少なくとも二次元の非ユークリッド空間を認識できる機能を持っていることに疑いはない。


例えば、トラの模様はトラが体を動かすと変化する。僕たちは、正しく「トラの体の表面」という二次元空間が変形すること、模様がその変形する空間の上に固定されていることを認識できる。

もし、僕たちの脳に非ユークリッド空間を認識する機能がなければ、非平面である「トラの体の表面」の模様も認識できなければ、その表面が変形することも認識できないわけで、何かとてもつもなく奇妙な認識を、三次元ユークリッド空間を模様が変形しながら「流れている?」ような認識をしてしまうだろう。


また、僕たちが穴やトンネルなどを認識できることも興味深い。僕たちは、「(穴やトンネルなどの)空隙そこにある」というふうに認識するし、それは進化の過程において有利なことだっただろう。「穴がそこにある」と認識できなくて、どこに逃げ込めばよいというのか?

そして、また、そのような空隙を他の空隙と比較したり、観念上分割したり、結合させたりするイメージ(ほとんど視覚的なイメージ)を持つことができる。例えば、水をすくうように丸めた右手と左手を揃えて、両手で水を汲むように。

僕たちは、空隙が変形することさえ理解することができる。口に空気を含むように膨らませるなど。

これもまた、位相幾何学を僕たちが理解できる基礎となっているように思う。