『ef - a tale of memories.』・『true tears』

学園恋愛アニメを二本、『ef』 と『true tears』を観た。

面白い共通点がある。『ef』 は宮村みやこ - 広野紘 - 新藤景の三角関係が広野が宮村を選ぶことで決着し、『true tears』は湯浅比呂美 - 仲上眞一郎 - 石動乃絵の三角関係が仲上が湯浅を選ぶことで決着するが、その選択の理由がほとんどないということだ。

宮村も湯浅も、容姿端麗・成績優秀な学園のアイドルとして位置づけられているが、トラウマや葛藤、過剰な独占欲のために逸脱した行動をとる。他方で、新藤や石動は、常に主人公に献身的な態度をとって、主人公との相互理解を深めていく。しかし、主人公はストーリーの全体を通して献身してくれ、相互に理解を深めていった少女ではなく、なぜ主人公を愛しているのか、なぜ主人公が愛しているのかもハッキリしない学園のアイドルを選ぶ。

神の視点から観ている視聴者にとっては、宮村や湯浅が抱えているトラウマや葛藤は同情に値する。そして、ストーリーが終わるまでそれは解消されないから、もし主人公達が彼女等を選ばなければ、彼女達は全く救済されないまま話が終わるわけで、非常に後味の悪いものになっただろう。しかし、登場人物である主人公達には、そこまで同情する理由がない。結局、広野が宮村を、仲上が湯浅を選んだのは、アイドルだったから、もしくはもともと好みの容姿だったから、というほかないと思う。

『ef』 と『true tears』は、「紆余曲折ありましたが、主人公は、結局『好みの容姿』の女の子を選びました」という身も蓋もない結末を、登場人物には十分に理解できないだろうヒロインのトラウマや葛藤を使って救済の話にしている、という共通点がある*1

*1:「新藤や石動の空回りだったのだ」という見方もできるが、ほとんど同じことではないかと思う。