実在

たぶん、今まで哲学上主張された実在は、四つに分けることができる。

  1. 実念的実在 - プラトンの「イデア」、上座部の「ダルマ」。論理学でいう「述語」にあたるものを実在として扱う。「三角形」「変化」「美」といった実在。
  2. 本質存在 - アリストテレスの「エイドス」、ヨーロッパ中世哲学の「エッセンティア」。事物の中にある種のようなイメージのもの。例えば、スイカの種は「可能的にスイカ」であって、だからスイカの本質存在を持っているのだ。
  3. 無性質な事物 - 論理学でいう「常項」にあたるもの。カントの「物自体」は、これにカウントしていいのかどうか・・・ それ自体は、性質を持たず、人間には認知不可能な何か。
  4. 性質を備えた事物

1.と3.は、人間には認知不可能な「何か」を仮設しているだけなので、問題にならない。2.は、目的論的自然理解に立ったもので、現在の機械論的・因果的世界理解にそぐわないので取れない。

しかし、4.を認めるだけでは、ライプニッツモナド論にいたる。

事物が実在するだけでは、「科学法則」はいったいどんな存在者だというのだろうか? そもそも、事物が実在するだけでは、「因果関係」でさえ実在しないではないか。