ドーキンス『神は妄想である』

僕は、ある種の唯物論に傾いているから、「神は存在しない」ということは同意できる。また、有神論者でなくとも、道徳的でありえることに同意する。

しかし、ドーキンス自身も先回りして書いているが、「なぜ、そこまで執拗に宗教を攻撃するのか?」ということが良く分からない。斜め読みだが、どうやら、三つの理由があるようだ。(1)戦争や差別のレッテル貼りに利用されている。しかも、それは偶然的にそうなっているというよりも、宗教自身がそのレッテル貼りを推進している。(2)人間の合理的思考能力を阻害する。(3)「〜教徒の子ども」という形で子どもをレッテル付けしたり、地獄などの恐ろしいイメージを植えつけて、児童虐待を行う。


一番面白いと思うのは、ドーキンスが聖書の内容を批判したり、内容の矛盾を指摘したりした上で、「『聖書に書かれていることを文字通りに信じる』といっている人々が、本当に聖書を読んでいるのか疑問だ」というようなことをはっきりと述べるところだ(本書の全体に、なんども出てくる)。正直、僕も同じ疑問を持っている。


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