思想の歴史

カントの有名な言葉に、「それを思い巡らせるたびに、新たにますます驚嘆と畏敬の念を呼び起こすものが二つある。私の上にある星空と、私の内にある道徳律と」というものがある(大意)。

僕が思い巡らせるたびに畏敬の念を呼び起こされるのは、人類の思想の歴史だ。

20万年前に乾燥しはじめたアフリカを旅立ち、地中海を越え、ユーラシアを横断し、ベーリング海峡を渡って地球上に広まった人類が、天の偉大さにうたれ、星の動きを観測し、死と生に思い巡らし、孔子が社会実践を訴え、釈迦が中道を説き、プラトンイデアを論じ、ユークリッドが公理による数学を体系化し、イエスが隣人愛を教え、ホッブスが王権神授説を否定し、ニュートンが自然の斉一性を見出し、ダーウィンが進化を発見して・・・

かくして僕たちはここまでやってきた。