「努力」がカッコいい時代が来る
『ドラゴン桜』や『おおきく振りかぶって』のヒットを見ていると,「努力」がカッコいい時代が復活するような気がする。とくに『ドラゴン桜』は,大きな目標が達成されるのは最終回(とその前の回)の一回だけにすぎず,しかも結果を達成できたのは二人の主人公のうち一人だけにすぎない。
ただ,『ドラゴン桜』や『おおきく振りかぶって』に描写される「努力」は,それが科学的・現実的な説得力*1を持つ点に,『ドカベン』とか『巨人の星』とかとの違いがある。
手元に『ドラゴン桜』や『おおきく振りかぶって』がないので,若干テキトウだけど,だいたい次のようなところが共通するのではないだろうか;
- モチベーションの維持と向上をある程度テクニックでコントロール可能なものとみなして,これをコントロールすることがもっとも重要なポイントである。根性は,テクニックでコントロールするものなのである。
- 科学的根拠のあるトレーニングをする。
- 大きくて長期的な目的のもと,小さくて短期的な目標を設定する。短期的目標は,現実的でなくてはならない。
- 休息は必要である。だから,ちゃんとした計画の下,必要なだけの休息は取る。また,休息のあとのリスタートをうまくきることに意を砕く。「休息もトレーニングのうち」というテーゼは良くあるが,もう一歩先を行って「『休みボケ』をどう防ぐか」ということに工夫を凝らす。
- 努力によって追い抜けそうにない天才や,すでにかなり先行している者が登場する。そして,主人公はそのことをわりあい冷静に受け止める。
- 伝統的な正攻法にこだわらない。うまいテクニックやショートカットを重宝し,それを卑怯なことだとは考えない。
- 特定のライバルとの勝敗という面は,あまり重視されていない。それよりは,自分で設定した小さな目標をクリアしていくことが重視される。それが結局は,ドラゴンボール現象を引き起こさない,という作用をもたらしているように思う。